力(Strength)の原画。1909年 Rider 社刊、Pamela Colman Smith 画

MAJOR ARCANA · VIII

力Strength

やさしさは、もっとも強い武器になる

正位置勇気忍耐やさしい強さ自制信念

逆位置弱気自信喪失衝動力みすぎ不安

力の原画を読む

描かれたもの5か所に番号を付けました。番号を押すと、その部分について Waite が書いた一文と和訳、補足が読めます。

原典に記述あり独自の観察
  1. 頭上の∞

    the same symbol of life which we have seen in the card of the Hierophant

    教皇の札で見たのと同じ、命のしるし。

    本文と絵の食い違いの一つ。Wikisource 収録の本文は「教皇の札で見た」と書きますが、原画でこの記号が頭上にあるのは魔術師(1番)で、教皇の札には見当たりません。

  2. 獅子の口

    is closing the jaws of a lion

    獅子のあごを閉じさせている。

    原典は、古い版では口を開かせる図もあったが、閉じるほうが象徴として優れると書いています(第1部)。

  3. 花の鎖

    her beneficent fortitude has already subdued the lion

    彼女の恵み深い不屈さは、すでに獅子を従わせている。

    格闘の最中ではなく「すでに」従えた後の場面。女性の腰から獅子の首へ花の鎖がつながっています。

  4. 頭の花冠

    the sweet yoke and the light burden of Divine Law

    神の法の「やさしいくびき、軽い荷」。

    Waite はこの言葉を、腰から獅子へつながる花の鎖について書いています(新約マタイ福音書11章「くびきは負いやすく、荷は軽い」を踏まえた表現)。頭の花冠は鎖と同じ花でつながっています。

  5. 獅子

    There is one aspect in which the lion signifies the passions

    ある一面では、獅子は情念を表す。

    獅子は尾を下げ、舌を出して女性に身を寄せています。抑え込まれているというより、なついている姿です。

原典の占的意味と、消えた語

Waite は本書の第3部で、各札に占いで使う語を短く並べました。

正位置

Power, energy, action, courage, magnanimity; also complete success and honours.

力、活力、行動、勇気、寛大さ。また完全な成功と栄誉。

逆位置

Despotism, abuse of power, weakness, discord, sometimes even disgrace.

専制、力の濫用、弱さ、不和、ときには不名誉さえも。

原典と、いまのキーワード

現代の「勇気・忍耐」に対し、原典の正位置は「力、活力、行動、勇気、寛大さ」に加えて「完全な成功と栄誉」まで言い切ります。逆位置の先頭は「専制、力の濫用」。弱さより先に、力を持つ側が使い方を誤る形が来るのが特徴です。現代の「弱気・自信喪失」と読み比べると、原典の逆位置は力の不足より力の暴走を見ています。

いまのキーワードから消えた語

magnanimity寛大さ
勇気と並ぶのは「寛大さ」。押さえつける力ではなく、器の大きさとしての強さです。
Despotism専制(逆位置)
逆位置の筆頭は「専制・力の濫用」。現代の「弱気」とは逆に、力が強すぎる方向の崩れが先に書かれています。
complete success and honours完全な成功と栄誉
やわらかな札の印象に反して、原典は「完全な成功」まで言い切る強い札として扱っています。

原典メモ

For reasons which satisfy myself, this card has been interchanged with that of Justice, which is usually numbered eight.

わたし自身が納得する理由から、この札は通常8番である正義の札と入れ替えてある。

マルセイユ版などでは正義が8番、力が11番。入れ替えは黄金の夜明け団の体系に由来し、市販のデッキで採用したのはこの版が最初とされます。Waite 自身は理由を語っていません。

原典メモ

The card has nothing to do with self-confidence in the ordinary sense, though this has been suggested

そう言われてきたこともあるが、この札は普通の意味での自信とは関係がない。

現代では「自信」の札とされることがありますが、原典は否定しています。

現代の読み方

力は腕力ではなく内なる強さを象徴する。獅子は怒り・欲望・恐怖といった衝動。それを抑圧ではなく、なだめながら共に歩む方法を女性は示している。占いで現れたとき、強引さではなく忍耐と慈愛が最強の武器になる時期を告げる。

正位置

状況
強引でなく、優しさと忍耐で物事が動いていく流れに入っています。
内面
怒りや恐れを否定せず、なだめながら共に歩む静かな強さが育っているはず。
行動のヒント
今日は感情的に反応したくなる場面で、3呼吸だけ置いてから言葉を選んでください。

逆位置

状況
自信のなさ・自己否定が、本来あるあなたの力を覆い隠しています。
内面
「私なんて」と「私こそ」が交互に来て、ひとり相撲で疲れていませんか。
行動のヒント
今日は過去にうまくいった小さな出来事を3つだけ書き出し、自分に静かに認めてください。

恋愛・仕事・人間関係で出たとき

力が恋愛で出たときの意味は?

感情的にぶつからず、相手の本質を信じる時期。長続きする関係の土台ができる。

力が仕事で出たときの意味は?

粘り強い交渉・困難なプロジェクトの完遂。短期成果より持続力が問われる。

力が人間関係で出たときの意味は?

怒りやすい相手・扱いにくい人との関係改善。優しさで相手の警戒を解く。

「力」のテーマを、誰かに話しながら整理したくなったら。

電話占いの選び方と、使いすぎを防ぐルール →

伝統的な対応

Golden Dawnではヘブライ文字「テット(蛇)」、占星術上は獅子座、生命の樹ではケセドからゲブラーへ繋ぐ第19の道に対応する。マルセイユ版では番号「11」だったが、この版では「正義」と入れ替えて「8」に置かれている。黄金の夜明け団の体系で、テト=獅子座がラメド=天秤座より前に来るようにした入れ替えで、Waite 自身は理由を語っていない。

Waite は当時広く行われていたヘブライ文字の対応を本書で採っていません。理由の二つ目:

secondly, because nearly every attribution is wrong.

第二に、ほぼすべての対応が誤っているからである。

ほかの札と並んだとき

この札を引いたあなたへ

力を引いたあなたは、抑え込むのではなく、なだめる強さを学ぶ段階にいます。今日は感情的に反応したくなる場面で、3呼吸だけ置いてから言葉を選んでみてください。

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出典

  • 英文:A. E. Waite『The Pictorial Key to the Tarot』(Wikisource・1910/1922刊)第1部・第2部・第3部
  • 原画:Wikimedia Commons「RWS1909 - 08 Strength.jpeg」(Pamela Colman Smith〈1878–1951〉画・1909年 Rider 社刊・パブリックドメイン)
  • 和訳と解説は当サイトによるもの。占いの結果は娯楽としてお楽しみください。