悪魔(The Devil)の原画。1909年 Rider 社刊、Pamela Colman Smith 画

MAJOR ARCANA · XV

悪魔The Devil

鎖は、ほどけることを知らないだけ

正位置執着誘惑束縛依存欲望

逆位置解放断ち切る目覚め立て直し自由

悪魔の原画を読む

描かれたもの6か所に番号を付けました。番号を押すと、その部分について Waite が書いた一文と和訳、補足が読めます。

原典に記述あり独自の観察
  1. 角と蝙蝠の翼

    The Horned Goat of Mendes, with wings like those of a bat

    蝙蝠のような翼をもつ、メンデスの角ある山羊。

    メンデスは古代エジプトの町の名。山羊の頭と角、蝙蝠の翼、人の胴と、いくつもの生き物が混ぜ合わされた姿です。

  2. 額の逆五芒星

    A reversed pentagram is on the forehead.

    額には逆さの五芒星がある。

    頂点が下を向いた五芒星。小アルカナのペンタクルの星は頂点が上を向いています。

  3. 掲げた右手

    being the reverse of that benediction which is given by the Hierophant in the fifth card

    5番の札で教皇が与える祝福の、裏返しになっている。

    教皇は2本の指を立てて祝福し、悪魔は手のひらを開いて見せています。5番と15番を並べると、同じ位置の手が対になっているのがわかります。

  4. 下に向けた松明

    a great flaming torch, inverted towards the earth

    燃えさかる大きな松明が、地に向けて逆さにされている。

    炎は下に向けられています。右の男性の尾の炎と並んでいます。

  5. 輪と2本の鎖

    from which two chains are carried to the necks of two figures, male and female

    そこから2本の鎖が、男と女の2人の首へとのびている。

    原典は2人を「堕落後のアダムとイヴ」と重ねます。原画の首の鎖はゆるく、頭から外せそうにも見えます(この点は原典に記述がありません)。

  6. 2人の尾

    The figures are tailed, to signify the animal nature

    2人には、動物の性を示す尾がある。

    男性の尾の先は炎、女性の尾の先はぶどうの房。6番・恋人の2人の背後の木(炎の実の木と、実のなる木)と対応しています(この対応は原典に記述がありません)。

原典の占的意味と、消えた語

Waite は本書の第3部で、各札に占いで使う語を短く並べました。

正位置

Ravage, violence, vehemence, extraordinary efforts, force, fatality; that which is predestined but is not for this reason evil.

荒廃、暴力、激しさ、並外れた努力、力、宿命。定められてはいるが、そのために悪であるわけではないもの。

逆位置

Evil fatality, weakness, pettiness, blindness.

悪い宿命、弱さ、卑小さ、盲目。

原典と、いまのキーワード

現代の「執着・束縛」に対し、原典の正位置は「荒廃、暴力、激しさ、並外れた努力、力、宿命」。そして「定められてはいるが、そのために悪であるわけではないもの」と書き添えています。悪一色の札としては書かれていないわけです。逆位置は「悪い宿命、弱さ、卑小さ、盲目」で、現代の「解放」とは反対の暗い語が並びます。逆位置を一律に「解放」と読まないための手がかりです。

いまのキーワードから消えた語

that which is predestined but is not for this reason evil定められてはいるが、そのために悪であるわけではないもの
悪魔の札の正位置に、わざわざ「悪であるわけではない」と添えられています。
Evil fatality悪い宿命(逆位置)
現代では逆位置を「束縛からの解放」と読むことが多いのですが、原典の逆位置は「悪い宿命・弱さ・卑小さ・盲目」で、解放の語はありません。現代の読みと原典が逆を向いている札です。
extraordinary efforts並外れた努力
暴力や激しさと並んで「並外れた努力」。強すぎる力の、使い道しだいの面です。

原典メモ

he who is exalted above them is not to be their master for ever

彼らの上に高く据えられた者が、永遠に彼らの主人であるわけではない。

Waite は、悪魔自身もまた「自らのうちの悪に支えられた奴隷」だと続けています。

現代の読み方

悪魔は外的な悪ではなく、自分で自分にかけた鎖を象徴する。鎖は緩いのに、解こうとしない。占いで現れたとき、それは依存・執着・誘惑など「分かっていてやめられない」テーマを告げる。罪ではなく自由の問題。

正位置

状況
強い欲望・依存・執着が、あなたの判断に強い影響を与えています。
内面
「分かっていてもやめられない」自分への呆れと愛着が、混ざっているはず。
行動のヒント
今日はその執着の正体を1行だけ正直に書き、評価せず眺めてみてください。

逆位置

状況
鎖を解く準備が、心の奥でゆっくり整いはじめています。
内面
もう自分を縛りたくない、という静かな決意が芽生えているのではないでしょうか。
行動のヒント
今日は依存をやめる宣言ではなく、24時間だけ距離を置く約束を自分にしてください。

恋愛・仕事・人間関係で出たとき

悪魔が恋愛で出たときの意味は?

依存的・刺激的だが消耗する関係。相手のせいではなく自分の選択。

悪魔が仕事で出たときの意味は?

高給だが心を削る仕事への執着。お金以外の価値の再検討。

悪魔が人間関係で出たときの意味は?

切れない関係性。実は切ろうと思えば切れることに気づいていない。

「悪魔」のテーマを、誰かに話しながら整理したくなったら。

電話占いの選び方と、使いすぎを防ぐルール →

伝統的な対応

Golden Dawnではヘブライ文字「アイン(目)」、占星術上は山羊座、生命の樹ではティファレトからホドへ降りる第26の道に対応する。マルセイユ版では悪魔として描かれていたが、この版の図像は、エリファス・レヴィ著『高等魔術の教義と祭儀』のバフォメット像に近いとよく指摘される。現代の解説では「依存・執着」のテーマで読まれることが多い。

Waite は当時広く行われていたヘブライ文字の対応を本書で採っていません。理由の二つ目:

secondly, because nearly every attribution is wrong.

第二に、ほぼすべての対応が誤っているからである。

ほかの札と並んだとき

この札を引いたあなたへ

悪魔を引いたあなたは、自分の鎖が見えはじめています。今日はその執着の正体を1行だけ正直に書き、評価せず眺めてみてください。

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扇に並んだ22枚から1枚を選ぶ、無料のタロット占いです。

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出典

  • 英文:A. E. Waite『The Pictorial Key to the Tarot』(Wikisource・1910/1922刊)第1部・第2部・第3部
  • 原画:Wikimedia Commons「RWS1909 - 15 Devil.jpeg」(Pamela Colman Smith〈1878–1951〉画・1909年 Rider 社刊・パブリックドメイン)
  • 和訳と解説は当サイトによるもの。占いの結果は娯楽としてお楽しみください。